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2006 04,09 23:34 |
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『Ray/レイ』は言わずと知れた、去年ジェイミー・フォックスがアカデミー賞主演男優賞受賞となった、レイ・チャールズの伝記映画だ。
Yahoo!Moveiレビューページ ジェイミー・フォックスは噂に違わぬ、執念とも思える、恐ろしいほどの演技を見せてくれた。その他競演陣にも文句はない。極めて個人的なことを言わせてもらえば、ワーリック・デイビスを見かけた時は涙が出そうになった。彼のようなショートサイズ・アクターにとって、ハリウッドは黒人俳優と同じぐらい封建的な世界だったろう。『スターウォーズ/ジェダイの帰還』でイウォークの一人としてデビューし、今やファンタジー映画には欠かせない存在となった彼が、遂に素顔で、性格俳優としての場が与えられたのかと、『スターウォーズ』ファンとしても、映画ファンとしても、この上なく素晴らしいことに思えたものだ。 しかしそんな『Ray/レイ』であるが、一本の映画としてどれほど評価できるかと言うと・・・はっきり言って、100点満点中、せいぜい50点というところである。 伝記映画特有のジレンマがそこにはあると、私は考えている。“ソウルの神様”と呼ばれたレイ・チャールズの生涯は、波乱万丈という言葉に3を掛けることが出来ない限り、一言で表現するのは不可能だろう。そんな人物の生涯の全てを、たった3時間で表現しようと言うのが、そもそも無理なのだ。この映画も、例えば彼の人生の何か“ひとつ”に焦点を置いて、そこから掘り下げていくような描き方であれば、もっと映画として完成度の高い仕上がりになっていたと思う。それを、「そうだ、あれにも触れておかなくちゃ」「あの件も必要不可欠だ」といった具合に、彼の人生の全てを満遍なく盛り込んだ結果、微妙にしまりのない作品になってしまったように思われる。 しかし、レイ・チャールズという偉人を題材にするにあたって、製作者に「彼の人生の全てを語らなくては」という使命感があっただろうことは、容易に想像が出来る。 この作品の価値は、作品それ自体の存在だと、私は思っている。映画としての完成度はともかく、レイ・チャールズという人間の存在を、“映画”という媒体に永遠に残せることに変わりはない。だが私はこの映画のおかげで、すっかり“伝記映画不信”に陥ってしまった。ジェイミー・フォックスの演技を堪能できた3時間は素晴らしい時間だったが、彼の演技“だけ”を観に行ったわけでは、決してない。 数ヵ月後、『Ray/レイ』を観たみゆき座の傍にある日比谷シャンテ・シネで、『マザー・テレサ』が公開された。当然観に行っていない。理由は、『Ray/レイ』による伝記映画不信のせいである。果たしてマザー・テレサの偉業を、たった3時間でどれだけ映画にしきれているのか・・・どなたかに教えていただいてから、あれは観てみたいと思う。 PR |
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