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2008 11,15 00:32 |
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またもや今更の感想になってしまう・・・
公式サイト 製作国=アメリカ 姉の評価=★★★★☆(白星は★0.5) 10月に鑑賞した、「秋の超話題作」。興味はなかったが、たまたま時間が出来たとき、スケジュールがいちばん都合よかったので観にいった。いやぁ・・・“話題作”は伊達じゃない・・・。ショーン・ペンの監督作は始めて鑑賞するが、思いのほかしっかりした作りの作品になっていて、圧倒されてしまった。 有名大学を優秀な成績で卒業し、ロー・スクールに通う22歳のクリスは、ある日、家族も貯金も捨て、一人、文明の外に旅に出る。2年間の放浪の末、アラスカの荒野にたどり着き、「土地の与えるものだけで生きる」生活を始める。お恥ずかしながら、この映画を観るまで、クリストファー・マッカンドレスという人物を知らず、この作品が実話を元に作られていたということすら知らなかった。物質社会に疑問を持ち、その全てを捨て去る決意をし、アラスカの荒野で死体となって発見されたクリス。彼の足跡をたどるこの作品は、賛否両論分かれるだろうな、と、初盤で感じた私である。 それはクリスの卒業式のシーン。「お祝いに新しい車を買ってやろう」という両親に、彼は「いらないよ。何でも物・物・物、うんざりだ!」と怒鳴りつける。今では子供を持つ身となった自分には、どちらの気持ちも理解できる。親は安全な車に乗ってほしいと思っているだけなのに、息子は、物質社会を押し付けられたように感じ、不快に思ってしまう。どちらの側に感情の比重がいくかで、この作品の評価は変わってくるのではないだろうか。 世間のしがらみや物質社会との縁を完全に断ち切り、綿密な計画の下、家族の前から“失踪”してみせたクリス。「自分探しの旅」という表現をこの作品の公式サイトなどで見かけたが、「自分探し」というのは、ちょっと違うのではないかと個人的には思った。クリスは、自分を見失ったからではなく、しっかりした自分の信念があったからこそ、全てを捨てて(名前すら捨てて)旅立ったのではないのだろうか。私も時々、何でも「物・物・物」の社会に疑問を抱くことがある。しかしクリスは、それを疑問のままにしておくことが出来なかった。悶々と悩むのではなく、その疑問に自分なりの答えを出した結果が、こうだった。勿論彼が旅立つ理由はそれだけではないが、私は彼のそんな部分に深い共感を覚え、いつまでも悩まず断ち切れた彼を、勇敢だと思った。クリスの思いは、疑問は、驚くほど純粋。旅先で出会う人々と触れ合う彼が聖人のように見える瞬間もたびたびあったほどだった。 しかし、家族の側からすれば、こんな身勝手で許しがたい話はないだろう。ある日突然、息子が自分たちの前から姿を消した。事件なのか事故なのかもわからず、生死さえ知るすべもない。彼が失踪してからの2年間の家族のかたがたの心の傷を思うと、たまらない気分になる。人間なら誰だって、自分を絆で縛り付ける人間たちをうとましく思うことがある。だが、そんな人間たちが周囲にいてくれるから生きていけるということを、クリスは理解できなかった。 死の間際、クリスはこう綴る「幸せとは、分かち合う人がいてはじめて味わうことができる」。孤独に震えながら綴る文字には、胸をわしづかみにされるかのような説得力があった。結局、クリスが旅を続けていられたのは、「最後に帰る場所がある」という安心感がどこかにあったからなんだろうな、と、そのとき感じた。激流に帰る道をふさがれ、毒草に体力を奪われ、家に帰る道を完全に断たれた時、彼は本当に「孤独」になったのだろう。 賛否両論あるだろうけど、「力作」と呼ぶに相応しい作品。人それぞれ色々に感じ方は違うだろうけど、ボリューム感だけは保障できる。映像としても、アラスカの荒野の美しさと厳しさを直接脳髄に訴えるような迫力があってよかった。★5つつけたいところだが、クリスの生き方に反感を感じる方もいるだろうことを考慮して、0.5減にしてみた。機会があったら是非ごらんになって、ご自分なりの感じ方を発見していただきたい。 PR |
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2008 10,27 01:19 |
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すっかりご無沙汰してしまって・・・。やっぱり子育てと仕事の二重生活は厳しい・・・6時間のパートとはいえ週5日だもんなぁ・・・
折角公開一週間のうちに鑑賞したのに、感想アップがこんなに遅くなってしまった。なまじ思い入れの強い作品なので、しっかりした感想を書きたいと思うあまり、ついつい後回しにしてしまって・・・。公開も終了し、今更何の参考にもならないけど、勿論ちゃんと鑑賞の記録は残します。 公式サイト 製作国=アメリカ 姉の評価=★★★★☆(白星は★0.5) かなり好評価にしてしまったが、これは私が『スター・ウォーズ』シリーズ(以下SWと省略)のかなりディープなファンだという前提での評価である。かなり楽しめたし、なかなか出来のいいアニメ映画だと思う。だが、SW全6タイトルを鑑賞した人以外の人間が見ると、まるでチンプンカンプンな作品になるだろう。☆0.5減は、その部分を考慮したものだ。 私はSW新三部作も、旧三部作同様大好きだ。しかし、新三部作が、ジョージ・ルーカスの独りよがりな映画作りの為に、完成度の極端に低い作品になってしまったことまで否定できない。私が新三部作を好きだと言い切るのは、「旧三部作以前の年代に、何が起こったのか知りたい」という欲求を、充分満たしてくれているからに他ならない。 今回のアニメ映画は、『エピソード2/クローンの攻撃』と『エピソード3/シスの復讐』の間を埋める、言ってみればブリッジ・ストーリーのごく一部だ。『クローン・ウォーズ』は、この後に続く100時間を予定するTVアニメシリーズの、いうなれば第一話にあたる。アメリカ人にとって、SWというのは単なる映画作品ではなく、サブカルチャーのひとつらしい。若干印象が違うかもしれないが、日本人にとっての『ドラえもん』のような位置づけにあると考えられる。日本人なら大抵、『ドラえもん』の新作映画がでれば、今更おさらいしなくても、世界観を理解した状態で鑑賞できるだろう。『クローン・ウォーズ』もそれと同じ。アナキン・スカイウォーカーが何者で、ジェダイが何でフォースが何か、当然理解しているという前提で作られている。SW文化がアメリカほど浸透していない日本では、ヒットするはずもない。ファンでない人にはお勧めできない作品である。 しかし、本国人並にSW文化に侵されてしまっている私にとっては、垂涎のとまらない作品であった。まず何より、全体的な仕上がりが、実写本編よりはるかに良いのだ。まったく、2005年のアニメといい、ジョージ・ルーカスが直接関わらないほうが出来がいいというのは、どういうことなのだろう?? 個人的によかったと感じるのは、やはりアクションシーンと演出の派手さである。勿論、ヘイデン・クリステンセンの生身の殺陣に勝るアナキンなんて存在しない。が、今回の映画でアニメの可能性を感じたのも本当だ。演出に制限がないので、実写ではあり得ないアクション、アングルのオンパレード。動きが滑らかで、肉眼で追いつけるぎりぎりの展開に、胸が躍りっぱなしだった。また、キャラクターが非常に生き生きしているとも、私は感じた。実写からのキャラたちもそうだが、何より素晴らしいのはオリジナル・キャラクターのアソーカ・タノ。ナマイキな今時の女の子風で感情移入しやすかったし、アナキンとの似たもの師弟コンビが微笑ましい。とにかくアソーカが可愛くてたまらない二時間だった。 文句をつけるなら、全体的に抑揚が乏しかったかな、という気がする。山場はどこなのか、はっきりしないというか・・・まあ、それも元々TVシリーズなのなら仕方がないし、「新三部作よりはまあいいか」と言ってしまえばカタがつきそうな気が・・・(汗) 「フルCG」という点に抵抗を覚える方もいるだろうが、個人的には、その部分も含めて好評価である。新三部作なんて、役者以外はフルCGも同然。その点『クローン・ウォーズ』は、中途半端に役者だけ生身にしてる新三部作と比べて、潔い感じがした。「もういっそフルCGでいいじゃん」みたいな(汗)。 お気に入りのパドメの出番が少なかったことに不満は残るが、そんなこんなで楽しい作品だった。あ、でも、くれぐれもファンじゃない方はごらんにならないように!(今回、支離滅裂な感想で済みません・・・) |
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2008 09,09 00:05 |
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≪溜まった感想消化するぞ週間≫
今までなら絶対に観にいかないタイプの映画なのだが、娘がCMでテーマ曲が流れるたびに反応するので、思い切って映画館デビューさせようと、連れて行ってみた。失敗した。あらゆる意味で・・・ 製作国=日本 姉の評価=★★☆ 簡単に言えば、ハッピーエンド版「人魚姫」。勿論それはそれで悪くない。が、ポニョと宗助の純粋で愛らしい愛情を描きたいのなら、どうして、やれ「世界の破滅」だの何だのと、大げさな話をもってくるのだろうか。正直、そこの部分がなければ、もっと素直な気持ちで楽しめたと思う。いいじゃん、海の生き物と崖の生き物が、幼い恋心を貫き通すだけの話だって。 最も、途中で娘が騒ぎ出したり、「もう出る」とごねて中座したりが入ったので、きちんと作品を読み解くことが出来なかっただけなのかもしれない。しかし、『ハウルの動く城』をあっさり凌駕する説明のなさに、まるきりついていくことが出来なかったのは本当である。宮崎監督は、世界がひっくり返るような大事態がないと、登場人物たちの動機付けが出来ないとでも考えたのだろうか。何なんだよ、DNAがうんちゃらかんちゃらとか、人工衛星が落ち始めてるとか。ポニョと宗助の想いに心惹かれるものがあった分、腹が立ってしょうがない。 この作品がベネチア映画祭で高い評価を得てるというのが、『カリオストロの城』や『風の谷のナウシカ』を観ながら大人になった日本人として、口惜しい気がする。おそらく、宮崎駿監督への敬意と、今時CGに頼らず手書きで長編アニメを製作したチャレンジ精神が評価されているだけなのだろうが。 色鉛筆画や水彩画のような映像には、勿論魅了された。あの独特の美しさだけは、一見の価値あり、である。 一部で、宗助が母親を「りさ」と呼び捨てにしていることを批判しているレビューを見かけたが、個人的に、そこはあまり気にならなかった。りさがそれでいいと思ってるんなら、いいんだよ。呼び方なんてどうでもいいんだって。ちゃんと親子で愛し合ってるんだから(最も、自分が娘から呼び捨てにされたらぶん殴るのだろうが・苦笑)。 公開が終了し、DVD化され、TV放送するのを地道に待って、観てみるといいと思う。 |
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2008 08,20 00:01 |
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7月に観に行った映画の感想。重い腰がやっと上がった(笑)
公式サイト 製作国=フランス 姉の評価=★★★★☆(白星は★0.5) パトリス・ルコント監督初挑戦である。「久しぶりに英語じゃない映画が観たいな」というぐらいのノリでこの映画を選んだ。じんわりとした笑いに包まれた、とても楽しい二時間弱となった。 ダニエル・オートゥイユ扮する美術商が、仲間内との“賭け”から、親友を作らなくてはならなくなる。しかし、仕事上の付き合い以外の人間関係を知らない彼。たまたま出会った、人当たりのいいタクシー運転手に「講師」をお願いすることにする。「繊細な男同士の友情を綴った」なんて宣伝文句もあったが、いい意味で、そんなに大げさな文句をつける必要などない作品だと思った。本当の意味での“娯楽映画”。「さあ、今日は映画を観るぞー!」と張り切って楽しむのではなく、「ちょっと疲れたから、軽く息抜きしたいなぁ」と、カフェでコーヒーを飲む感覚で楽しみたい作品である。 友達を作ろうと、電話相談にかけてみたり、友達作り講習会に出席したり、「友達リスト」を作ってみたり・・・一所懸命なんだけど間違いだらけな美術商のキャラクターで初盤皮肉たっぷりに笑わせてもらい、運転手ジーノとの交流。二人の不安定なんだけどあたたかい友情を見守っていたのに突然の裏切り。そして、本当の友情を見つける二人の描写・・・たっぷりの皮肉と、哀愁と、あたたか視線を感じる秀作だった。ギャグな場面のテンポのよさにも助けられ、観ていてまったく飽きなかった。 終盤に出てくるクイズ番組が「ミリオネア」だったのも、見ているこちら側にはありがたかった。あのシーンに出てくる笑いのほとんどが、番組のルールに関わるものだったので判りやすかった(笑)。劇場中大爆笑。ほかの国の人たちと、こんなところに笑いの共通点があったんだと思うと、ちょっと嬉しくなったりする。 お勧めの映画の一本だが、渋谷まで、わざわざ気合を入れて、片道一時間かけて観に行ったのが災いして、★0.5減。そんなに張り切らず、フラフラっと立ち寄って出会いたい映画だった。公開終了してしまったので、DVDになったら是非! |
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2008 06,19 09:46 |
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どうも。またもや体調を崩していました。どうにか復活。5月に自宅で鑑賞した作品の感想をやっつけたいところだけど、新作を観て来たのでそちらの感想を優先させようと。
公式サイト 製作国=アメリカ 姉の評価=★★★★★ 『サンキュー・スモーキング』でデビューし、二作目の本作でアカデミー監督賞にノミネートされた、ジェイソン・ライトマン作品。当初観に行くつもりはなかったが、ライトマン監督作だと知ってから、公開を心待ちにしていた。良作。観に行って本当に良かった。 今回は、16歳で妊娠した少女ジュノが主人公。タバコ業界のスポークスマンが主人公だった前作同様、一見アンモラルな題材を取り上げている。そして前作同様、一本の中で、多くのことが語られている作品だった。 私も一人出産してる母親だ。妊娠や出産は、「命の尊さ」とかと絡ませて、ものすごく神秘的なものとして美化されるのが、特にこの日本での現実。しかし、妊娠した本人からしてみれば大して神秘的なものではなく、良くも悪くも「ヤッたから出来ちゃった」以外の何者でもない。私はジュノと違って結婚してから妊娠した。それでもテスターの「+」は十字架に見えた。この作品のレビューでよく、「命の尊さがわかってない」とか「母親の責任がなってない」とか言う男性側からの批判を見かけるが、そんなものはクソくらえだ。この世に、「命って尊いものだぁ」と思いながらセックスする人間などいるだろうか。それは大人だって、男だって変わらないことだ。 以下、ネタバレになるので、お嫌じゃない方だけ反転を。 (ネタバレここから)個人的にこの作品から一番感じたのは、「他人からもらおうと自分で産もうと、“親になる”のは一大事」ということだ。「いらないからあげる」「出来ないからもらう」・・・当初、そんな風に考えていた登場人物たち。それが、妊娠が進むにつれ、ジュノ、ポール、マーク、ヴァネッサ、それぞれに親になることの重大さに気づいていく。それに気づいたマークは逃げ出し、ヴァネッサは一人になることでより強い母親になる。ジュノは子供を捨てることの本当の苦しみを知り、ポールはジュノと苦しみを分かち合える男に成長する。親になることを軽く考えていた4人がそれぞれに出した結論は、いづれも、親になることがどれほど大変かを語っているように思われた。 何がおきても、自分の思いを貫き通すジュノは、本当にすごいと思った。妊娠を知ったときも、いつまでもぐじぐじせず、「何が自分たち(胎児を含め)に最善か」を考え、実行する。マークが突然ヴァネッサと離婚すると言い出しても、いつまでも泣いていないで、里親に適任だと感じたヴァネッサに全てをゆだねる。「前向き」なんて悲壮感のある言葉では表現できないジュノの行動に、とても好感が持てた。 個人的には、出産直後のジュノとポールのシーンが一番良かったと思う。「出来ちゃった。人にあげちゃうね」「うん助かるよ」・・・そんな会話をしていた二人だったけど、最後には、子供を捨てる苦しみを分かち合い、絆の深いカップルになった。あの一瞬だけ、彼らは「父親と母親」だった。二人は、あの出産の日のことでいつまでも苦しみ、後悔しながら、生き続けるだろう。その苦しみを共に背負ってくれる相手がいることに、感謝しながら。 また、「赤ちゃんとは関わりを持たない」という思いを貫いたジュノを、私は擁護したい。どうしようもない事情で子供を手放すとしたら、その子とは一生関わりを持たないという覚悟がなければならない。ジュノには、初めからそれがちゃんとわかっていた。その覚悟がないなら、赤ちゃんを手放すべきではない、と。 この作品では「家族の絆」も充分に語られていた。特に感じたのは、ジュノとブレンダの関係。継母として10年の年月をジュノと過ごしたブレンダは、常にジュノの見方だった。家族の絆って、血のつながりじゃなくて、過ごした時間とその内容が重要なんだな、と、改めて感じた。(ネタバレここまで) 演出としては、CM出身のライトマン監督らしいこだわりがあちこちに見られて、本当に楽しかった。『サンキュー・スモーキング』と比較しても、人物描写が益々良くなってきている。今後、熱烈なファンになってしまいそうな予感が・・・(笑)。父親アイバン・ライトマン氏に負けず、これからもずっと活躍して欲しい。 日本では、『14歳の母』とかいうドラマと比較されることも多い本作。同じテーマを扱っているというのなら、本作のほうが断然上である。あのドラマは悲壮感だらけでうんざりした挙句、特に「命の尊さ」を感じることもなかった。あんなドラマで10代の妊娠を食い止められると思ったら大間違いだ。 色々思うことだらけの作品だが、一言でまとめるとこうなる。「共感は出来ないけど、好感は持てる」。賛否両論ある作品なので、是非一度、ご自分の目でご覧になって、是か非かを考えていただきたい。 |
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