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2007 09,14 00:45 |
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本年度アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『善き人のためのソナタ』で主役を務めたウルリッヒ・ミューエ氏が死去した。なんと54歳の若さ。死因は、6年前私自身が手術を受けたのと同じ病気、胃がんだったとのこと。
このことを、一緒に『善き人のためのソナタ』を観に行った友人が、わざわざメールで教えてくれた。とてもショックだった。数年前に鑑賞した作品ならいざ知らず、本年のアカデミー賞を受賞したばかりの作品の主演俳優さんが亡くなってしまうなんて。ラストシーンで彼の見せてくれた輝かしい表情に涙したのをよく覚えている。派手さはないけれど説得力溢れる演技で、劇場中を泣かせてくれた。以前を作品を知らないが、間違いなく名優と呼ばれる人だったと思う。 『善き人のためのソナタ』は旧東ドイツのシュタージ(秘密警察)の職員が、ある芸術家のカップルを24時間監視しているうちに、彼らの世界に魅せられ、危険を承知で彼らを守ろうとする話である。ウルリッヒ・ミューエは主人公のシュタージ職員を演じた。訃報を聞いた後調べて知ったのだが、彼自身は高校卒業後から、非常に厳しいシュタージの監視下に置かれていたらしい。劇団時代の友人もみな監視員で、6年間生活を共にし娘までもうけた妻も密告者。そんな過酷な過去をお持ちだとは全然知らなかった。 彼の過去を知って、『善き人~』の迫真の演技を理解できたような気がする。親しい人たちに監視され、彼は想像を絶する人間不信に陥ったこともあるだろう。でもそんな苦痛の中でも、人を信じる力を持ち続けていたい・・・そう思っていたのではないのだろうか。その思いが、あの演技に強く表現されていたのでは・・・私は、そんな気がしてならない。 ミューエさん、私たちにかけがえのない感動を与えてくださって、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。 PR |
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