2024 05,19 15:02 |
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2008 06,30 00:42 |
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先日、深夜枠で放送されていたのを録画して鑑賞。内容は良く知らなかったのだが、名作と呼ばれる作品なので、機会があったら一度鑑賞してみたいと思っていた。
goo映画紹介ページ つ、疲れた・・・。「サスペンスの要素もあるダンス映画」ぐらいに考えていたのに、終盤の逃亡劇が思っていたよりも緊張の連続・・・。と言っても、疲れたのは本当にラストだけだったので、「サスペンス映画」だと思って観たら、確実に期待はずれになるはずだ。しかし、「ダンス映画」だと考えていた私の心臓には、けっこうな負担になった。 舞台は1985年。主人公は、8年前にソ連からアメリカに亡命した世界的バレエダンサー、ニコラス。公演でロンドンから日本に向かう途中、彼の乗った飛行機がシベリアに墜落してしまう。犯罪者として当局に拘束されたニコラスは、再びキーロフ・バレエ団で踊るよう圧力をかけられ、黒人のレイモンドとその妻に身柄を預けられる。レイモンドはかつてアメリカからソ連に亡命したタップダンサーで、ベトナム戦争の悲惨な経験から、アメリカ不信になった過去を持っていた・・・。 ここまで書いた内容の通り、冷戦時代に作られた、冷戦映画の一本である。作中、KGBの大佐チャイコが悪役として描かれているが、レイモンドの挿話があるように、完全に「西を善、東を悪」にしているわけではないことに、好感が持てた。アメリカへ脱出しようとするニコラスとレイモンド夫妻の姿を、白夜が執拗に照らし出す様は、なんだか不気味な感じがした。 この作品で一番素晴らしいのは、ダンスシーンとストーリーが、どちらも犠牲にされることなく引き立っていたことだ。ダンス映画やミュージカル映画にとって、ストーリーは基本「歌って踊るためのダシ」のようなもの。あってもなくてもどうでも良いようなストーリーの映画も少なくない。逆に、『ステップ・アップ』のようにストーリーを大切にしているダンス映画もなくはない。しかしそういう映画の場合、ストーリー進行の妨げになるためか、折角のダンスが編集で無残にもぶつ切りにされ、一番の醍醐味であるはずのダンスシーンを充分に楽しめないことも多い。 しかしこの作品は、そのどちらにもならなかった。見ごたえのあるストーリーに、まるきり物語進行の邪魔にならないダンスシーン。冒頭のバレエ、レイモンドの憤りのタップ、ニコラスの悲鳴のようなバランジン、そして国・人種・ジャンルを超えて繰り広げられる、二人のデュオ・・・いづれもが、ストーリー上意味があり、しかも「ダンスを楽しみたい!」という欲求を充分満たしてくれる。ダンス主軸のミュージカル映画が苦手という方に、一度観ていただきたい作品だ。 ニコライ役のミハイル・バリシニコフ自身、ソ連から亡命してきたキーロフ・バレエ団の花形ダンサーだったというのは、あまりに有名な話。自分の半生を振り返るような役どころを演じるのは、どんな気分だったろうか。また、こちらも有名なタップ・ダンサー、レイモンド役のグレゴリー・ハインズ。「この顔最近観た気がするなぁ」と思っていたら、『彼女を見ればわかること』でホリー・ハンターの恋人を演じたナイスミドルだった。すっごく驚いた(笑)。この主演二人の実力がなければ、この傑作が生まれることもなかっただろう。お二人のダンスを堪能させてもらえて、それだけでも観る価値のある作品だと思った。 余談だが、作中に出てきた「捕虜交換」のシーンに、少し複雑な気分になった。東西共にスパイを放っていた冷戦中、捕らえられたスパイは東西間で交換するのが暗黙の了解だったとか。「ああ、これがよく聞くスパイ交換かぁ」と感心する一方で、「こんな時代が本当にあったんだ」なんて。 ともあれ、完成度、芸術性、などの高い作品なので、機会があったら是非ご覧になってください。 PR |
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