2024 05,19 13:52 |
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2006 11,21 23:51 |
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念願かなって、アルフォンソ・キュアロンの新作を観て来られた。
公式サイト 製作国=アメリカ・イギリス 姉の評価=★★★★☆ かなりシリアスな映画である。まず最初にこの映画を『トゥモロー・ワールド』だと思って観に行かないほうがいい。これは『人類の子供たち』(原題直訳)という、現代の問題を近未来に置き換えた社会派エンターテイメントだ。この邦題と「人類に子供が生まれなくなった云々」から始まるTVCMのイメージだけで観に行くと、かなり酷い目に遭うだろう。少子化問題をはじめ、不法移民問題、テロ問題などを盛り込んだ本作には、『トゥモロー・ワールド』などというお気楽な気分で見られるような娯楽性は求められない。絶望的な社会を表現する為か、目を覆いたくなるような残虐シーンも多い。最終的な希望の光もあまりにも薄い。その手の映画が苦手な方には、とことん嫌われる類の映画だと思う。 ただ、そんな絶望的な作品だからこそ、軽々しく「命って尊いんだ!」と叫ぶような作品より、よっぽど命の重たさ、人間の尊厳について心に訴えるものがあった。終盤の(ネタばれの為反転)それまで容赦ない発砲で不法移民を虐殺し続けてきた兵士たちが、赤ん坊の泣き声に一斉に静まるシーン・・・あまりにもリアルすぎる(ネタばれここまで)。あれほど現実味のある形で心揺るがされるシーンも、世に多くの映画がある中、数えるほどはないと思う。SF映画ではなく、社会派ドラマがお好きな方に、一度観ていただきたい作品だ。 全体的に単調な作りなので、その辺がお気に召さない方もいるだろうが、それもキュアロンが「一人称を主軸としたカット割り」にこだわった成果だと思う。期待したほどキュアロン・マジックは観られなかったが、それも過度な演出やカメラワークを排除し、「一人称の演出」にこだわった為だと思うと、ファンとしては嬉しいところ。キュアロンにはこれからも、こだわりを感じる演出をみせて欲しい。 全体的な評価は高いのだが、どうしても状況説明不足だけが気になってしょうがなく、★ひとつ減とした。何故世界は崩壊したのか?何故不法移民は突然犬以下の扱いになったのか?何故人類は生殖能力を失ったのか?「イギリスはまだ戦ってる」って、どういういうことなのか??・・・まあ、多分私が気にしすぎなだけなのだろうが。 余談だが、この作品の舞台がイギリスだというところに、また深いものを感じた。イギリスは「難民が特にあこがれる国」と呼ばれ、世界中からの不法移民が後を絶たないという。そんな「難民が憧れる国」で、不法移民があんな扱いを・・・なんて。もし時間があるようなら、『堕天使のパスポート』や『イン・ディス・ワールド』などをご覧になってから、この作品を鑑賞してみてもいいかもしれない。 PR |
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