2024 05,19 08:14 |
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2008 06,19 09:46 |
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どうも。またもや体調を崩していました。どうにか復活。5月に自宅で鑑賞した作品の感想をやっつけたいところだけど、新作を観て来たのでそちらの感想を優先させようと。
公式サイト 製作国=アメリカ 姉の評価=★★★★★ 『サンキュー・スモーキング』でデビューし、二作目の本作でアカデミー監督賞にノミネートされた、ジェイソン・ライトマン作品。当初観に行くつもりはなかったが、ライトマン監督作だと知ってから、公開を心待ちにしていた。良作。観に行って本当に良かった。 今回は、16歳で妊娠した少女ジュノが主人公。タバコ業界のスポークスマンが主人公だった前作同様、一見アンモラルな題材を取り上げている。そして前作同様、一本の中で、多くのことが語られている作品だった。 私も一人出産してる母親だ。妊娠や出産は、「命の尊さ」とかと絡ませて、ものすごく神秘的なものとして美化されるのが、特にこの日本での現実。しかし、妊娠した本人からしてみれば大して神秘的なものではなく、良くも悪くも「ヤッたから出来ちゃった」以外の何者でもない。私はジュノと違って結婚してから妊娠した。それでもテスターの「+」は十字架に見えた。この作品のレビューでよく、「命の尊さがわかってない」とか「母親の責任がなってない」とか言う男性側からの批判を見かけるが、そんなものはクソくらえだ。この世に、「命って尊いものだぁ」と思いながらセックスする人間などいるだろうか。それは大人だって、男だって変わらないことだ。 以下、ネタバレになるので、お嫌じゃない方だけ反転を。 (ネタバレここから)個人的にこの作品から一番感じたのは、「他人からもらおうと自分で産もうと、“親になる”のは一大事」ということだ。「いらないからあげる」「出来ないからもらう」・・・当初、そんな風に考えていた登場人物たち。それが、妊娠が進むにつれ、ジュノ、ポール、マーク、ヴァネッサ、それぞれに親になることの重大さに気づいていく。それに気づいたマークは逃げ出し、ヴァネッサは一人になることでより強い母親になる。ジュノは子供を捨てることの本当の苦しみを知り、ポールはジュノと苦しみを分かち合える男に成長する。親になることを軽く考えていた4人がそれぞれに出した結論は、いづれも、親になることがどれほど大変かを語っているように思われた。 何がおきても、自分の思いを貫き通すジュノは、本当にすごいと思った。妊娠を知ったときも、いつまでもぐじぐじせず、「何が自分たち(胎児を含め)に最善か」を考え、実行する。マークが突然ヴァネッサと離婚すると言い出しても、いつまでも泣いていないで、里親に適任だと感じたヴァネッサに全てをゆだねる。「前向き」なんて悲壮感のある言葉では表現できないジュノの行動に、とても好感が持てた。 個人的には、出産直後のジュノとポールのシーンが一番良かったと思う。「出来ちゃった。人にあげちゃうね」「うん助かるよ」・・・そんな会話をしていた二人だったけど、最後には、子供を捨てる苦しみを分かち合い、絆の深いカップルになった。あの一瞬だけ、彼らは「父親と母親」だった。二人は、あの出産の日のことでいつまでも苦しみ、後悔しながら、生き続けるだろう。その苦しみを共に背負ってくれる相手がいることに、感謝しながら。 また、「赤ちゃんとは関わりを持たない」という思いを貫いたジュノを、私は擁護したい。どうしようもない事情で子供を手放すとしたら、その子とは一生関わりを持たないという覚悟がなければならない。ジュノには、初めからそれがちゃんとわかっていた。その覚悟がないなら、赤ちゃんを手放すべきではない、と。 この作品では「家族の絆」も充分に語られていた。特に感じたのは、ジュノとブレンダの関係。継母として10年の年月をジュノと過ごしたブレンダは、常にジュノの見方だった。家族の絆って、血のつながりじゃなくて、過ごした時間とその内容が重要なんだな、と、改めて感じた。(ネタバレここまで) 演出としては、CM出身のライトマン監督らしいこだわりがあちこちに見られて、本当に楽しかった。『サンキュー・スモーキング』と比較しても、人物描写が益々良くなってきている。今後、熱烈なファンになってしまいそうな予感が・・・(笑)。父親アイバン・ライトマン氏に負けず、これからもずっと活躍して欲しい。 日本では、『14歳の母』とかいうドラマと比較されることも多い本作。同じテーマを扱っているというのなら、本作のほうが断然上である。あのドラマは悲壮感だらけでうんざりした挙句、特に「命の尊さ」を感じることもなかった。あんなドラマで10代の妊娠を食い止められると思ったら大間違いだ。 色々思うことだらけの作品だが、一言でまとめるとこうなる。「共感は出来ないけど、好感は持てる」。賛否両論ある作品なので、是非一度、ご自分の目でご覧になって、是か非かを考えていただきたい。 PR |
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