2024 05,19 15:39 |
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2006 12,08 23:49 |
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公開終了直前にして駆け込み鑑賞した。
公式サイト 製作国=アメリカ 姉の評価=★★★★★ トルーマン・カポーティのことは『ティファニーで朝食を』の原作者で、アメリカを代表する小説家の一人、ということしか知らずに観に行った。これはカポーティが代表作『冷血』を執筆した6年間を描いた作品だが、『冷血』そのものは読んだことがない。正直気持ちのいい映画ではないが、このところ伝記映画というだけで出来を信用できない節があった私にとっては、良作だった。そう、こういう伝記映画を待っていた。偉人の人生を「あれもこれも」ではなく、その人物の「何を」伝えたいのかがきちんと伝わってくる映画。『グッドナイト&グッドラック』でも同じことを思ったが、“伝記映画”というくくりの中では、こちらのほうが出来がいいのではないのだろうか。 カポーティという人間の光と影、名声に影に潜んでいた「冷血」さ・・・素晴らしい。犯罪者ベリーに親近感を覚えながらも彼の死刑を望む、徹底した「作家魂」。知らずのうちにそれに心を蝕まれていくカポーティ。良くも悪くも素直な彼の姿に、こちらまでノイローゼになりそうだった(笑)。カポーティの「冷血さ」に共感させながらも同情させない。彼の人生を美化する部分が全くないので、その類の映画を期待する方には不愉快だろうし、後味も悪い。でも、カポーティという小説家の「何を」語りたかったのかが、きちんと伝わってくる。偉人の人生そのものを後世に残すことも伝記の使命だが、やはり映画であれば、こういう製作者の声を聴かせてほしい。 アカデミー賞受賞となったホフマンの演技が、期待を裏切らないほどよかった。彼がいなかったら、この映画そのものが成立しなかっただろう。DVDにでもなったら、是非目を通していただきたい作品だ。 余談だが、『ティファニーで朝食を』は、オードリー・ヘップバーン主演で映画化されているのをご覧になった方も多いだろう。しかし、原作者のカポーティはその配役に不満があったというのは有名な話。カポーティがイメージするヒロインのホリーの配役はジョディ・フォスターで、何でも、彼自身が再映画化に向けてジョディと打ち合わせまでしていたという(残念ながら叶わずにお亡くなりになってしまったが)。『冷血』執筆談には気分が悪くなったが、『ティファニー』の件を同情する気持ちは未だに変わらない。なにせあの映画、原作との共通点といったらタイトルぐらい、というぐらい別物になってしまってるのだから。自分の作品があんな酷い脚色で映画になって、腹を立てない小説家なんていないだろう。 PR |
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